乳酸菌サプリ 便秘になる

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乳酸菌サプリに腸内環境を整える効果はないかもしれない・・・


前回の記事、「便秘の人が食物繊維含量の高い生野菜や粉砕しただけの青汁を摂りすぎると便秘が悪化する」ということはご理解頂けましたでしょうか?意外だったかもしれませんね。
このように便秘に効果ありと考えられている食べ物が意外にも条件によっては便秘の悪化を招くことだってあるのです。
ではでは今回は乳酸菌サプリについて考察していこうと思います。

 

意外?!元々胃には常在乳酸菌が棲みついている

乳酸菌はそもそも私たちの口や胃、回腸に棲んでおり、ビフィズス菌は大腸内を好んで棲みついています。
pH1〜2強酸性の塩酸が分泌される胃内にも棲んでいるのです。
ただ元々棲みついている乳酸菌は胃のムチン層(糖鎖)と呼ばれる粘液に棲みついていてこの糖鎖はpH緩衝役を果たしているのです。
たとえばpHが7より低下するとHイオン濃度が上がります。
そうするとそれを中和するようにOHが放出されH2O(水)を生成するわけです。
逆にアルカリに傾くとOHが多くなるのでそれを中和するようにHイオンが放出され水を生成します。

 

このように糖鎖の粘膜は周りのpHによってHとOHを放出することによって中性を保っているのです。
だから胃の糖鎖に乳酸菌が棲んでいても何ら不思議なことではないのです。

 

食後に乳酸菌サプリを飲むと生きて胃を通過する可能性が高くなる


通常胃酸は食前の空腹時にはpH1〜2と強酸性を示します。
食事をすると濃度が薄まるのでpHは4〜5まであがりますが次第にpHは低くなり、食後2〜3時間でまたpHは1〜2まで戻ります。
この時点で大半は死滅しそうな気がします。
ところが野菜や果物など食物繊維含量の高いものはそれ自身にpH緩衝力を持っているので意外と生きたまま通過できる乳酸菌が居るのです。

 

胃を生きた状態で通過してもアルカリ性の酵素を分泌する小腸が手強すぎる

ですが生きた状態で胃を通過したとしても乳酸菌にとって最も手強い小腸が待ち受けています。
生きている乳酸菌は2つの試練を乗り越えなければ大腸に到達できません。
乳酸菌は酸性には強いのですがアルカリ性には滅法弱く、アルカリ性の酵素を分泌する小腸で多くが死滅します。
ですが先ほども言ったように食物繊維をたくさん摂取した場合、pH緩衝力が高いので中には生きて大腸に届く菌も中にはいます。でも生きていても小腸にある抗体に攻撃され死滅していくのです。

 

ですが小腸に存在する抗体に認められれば生きて腸に届く可能性が高まります


このように多くの乳酸菌は小腸で死滅してしまうのですが中には抗体に認めれられ生き抜く菌も存在することもあるかもしれません。
そのような菌は「人の腸内から発見された菌種」である可能性が高いと思います。
しかし口から摂取する以上小腸のアルカリ性に強い菌種しか到達しないと思います。
だから仮に有胞子性でアルカリ性に強かったとしても抗体で死滅しますし、抗体に認められる菌種であっても今度はアルカリに弱かったり、この両方に強い菌種は中々見つからないのです。

 

ところが最近になりようやくアルカリにも耐性があり、抗体にも認められそうな菌種がようやく見つかったのです。
それが日本人の腸内から発見されたガセリ菌です。

 

このガセリ菌、じつは腸内に90日間も留まり生きていたことが確認された非常に珍しい菌種なのです。

 

では生きて棲みつくこと可能性があるガセリ菌を摂取すれば悪玉菌を抑制したり便秘を改善することができるの?


いいえ、まず無理な話です。
というのもそもそも悪玉菌を抑制することが出来るのは菌そのものではないからです。

 

悪玉菌を抑制できる唯一の物質は細菌が産生する短鎖脂肪酸だけ。
つまり、ガセリ菌に限らずどんな乳酸菌サプリを摂取しようとも短鎖脂肪酸が産生されない限り悪玉菌を抑制することはまず不可能なのです。
(一部、抗生物質様を分泌する菌種も発見されておりますが微量なので悪玉菌を抑制する効果は認められておりません)

 

では、なぜ短鎖脂肪酸(有機酸)によって悪玉菌を抑制できるのかというと、悪玉菌は酸性に弱いからです。
悪玉菌が産生する酵素は酸性だとうまく働きませんが弱酸性からアルカリ性になると働き一気に増えるわけです。
悪玉菌は腸内がアルカリ性に傾くと猛威を振るい酸性側に傾くと一気に勢力を弱めてしまいます。

 

乳酸菌サプリよりもヨーグルトの方が悪玉菌を抑制する効果が圧倒的に高いわけ

菌を限定的に摂取しても悪玉菌を抑制することは土台無理だということがお分かり頂けましたか?
しかし何も存在しないところから善玉菌は短鎖脂肪酸は作り出せません。

 

では悪玉菌を唯一抑制できる短鎖脂肪酸はどうやって作り出すのでしょうか?
その答えは・・・
短鎖脂肪酸はオリゴ糖や水溶性食物繊維などから作られます。

 

オリゴ糖はヨーグルトにも少量含まれていますので実は乳酸菌サプリよりも便秘解消に効果があるのです。
実際に乳酸菌サプリで便秘解消できたという人はあまり見掛けませんがオリゴ糖やオリゴ糖が含まれたヨーグルトだと便秘解消できたという人が結構いらっしゃいます。

 

 

 

ヨーグルトや乳酸菌サプリの菌は”生物”です。生物である以上、適した環境にしか住めないのです


「善玉菌を増やすなら菌を摂取すれば良い」と思われる方が多いと思うのですが、
じつはこのような考え方は私が以前携わっていた農業という分野でもかなり根強く浸透していました。

メーカーや専門家の大きな勘違い:
私のプロフィールをご覧になった方はすでにご存じだと思うのですが、私は元々農業という分野で土壌微生物(細菌)に携わってきました。この農業という分野も乳酸菌サプリのメーカーと同じように土壌菌メーカーなるものが存在しているんですよ〜。土壌菌メーカーの主張も乳酸菌サプリメーカーの主張も「良い菌を土壌に撒けば」、「乳酸菌を飲めば」細菌叢は改善できる、という共通した主張をしています。(腸内細菌という分野でも同じ主張を聞くことになるんだから思わず笑ってしまった)
しかし、わたしは声を大にしてこれらメーカー言いたいのだ。
あのね!
「土壌菌をどれだけ施そうが、乳酸菌サプリをどれだけ飲もうが、そこに病原菌を駆逐できる酵素の原料や、悪玉菌を抑制する短鎖脂肪酸の原料がなければ全く抑制することは出来ないし、むしろ下手すれば施した菌をエサに病原菌が増えるだけ〜〜!(>ω<。)」
これはわたしが何十回と経験してきたこと。
生物叢は「菌をばら撒くだけ」では決して改善できないのです。

 

 

多くの農家さんは菌資材の効果についてはイマイチの感想を持っています。
よくよく考えてみるとこれらのことって当然のことなのです。

 

菌を摂取しても土壌に施しても環境を整えてない限り増えることは決してありませんでした。
むしろ病原菌が繁殖した圃場であっても、環境を作り上げその圃場に棲む既存菌を増やした方が遥かに効率良かったし、菌のエサとなる中熟堆肥を施した方がよっぽど病原菌を駆逐できマシでした。

 

これは私が土壌微生物という分野で試験に試験を重ね行き着いた結論です。

 

有用菌をどれだけたくさん土壌に施しても生物叢に変化はなく有害菌を抑制することは出来なかったのに対し、
有機物(ここではエサとなる有用菌による発酵途中の堆肥。完熟堆肥は菌が利用できる多糖類が無くなっているのであまり効果なし)を施すと生物叢が一気に良い方向へ向かうことが圧倒的に多かったのです。

 

これは大腸内でも同じことが言えると思います。

 

私たちが食事を見直さない限り乳酸菌サプリやヨーグルトの菌だけじゃなく、腸に既存する善玉菌さえも増えることはありません。
(私は全くできておりませんが何か? オリゴ糖飲んで楽してます)
なぜなら私たち人も菌も同じ生物です。
生物が生きるためには必ず適した環境とエサが必要です。

 

私たちヒトは南極などの過酷な環境には棲みつけませんし、食べ物なしには生きていけません。

 

ヨーグルトの菌や乳酸菌サプリも同じで、悪玉菌だらけのアルカリ性の環境では生きにくいですし、
棲みつくためにはまず有機酸を産生し腸内を酸性にしなくてはいけません。
そのためにはその環境を構築するための多糖類が必要ですし、それを私たちヒトが摂取しないと腸内環境は整うハズがありませんよね?

 

 

さて、ここまで「乳酸菌サプリ」について解説してきましたが、ではヨーグルトはどうなのか?を説明していきますね。