多糖類 腸内細菌

MENU

食物繊維と腸内菌の利用性

さて、ここからは食物繊維によって本当にビフィズス菌が増えにくいのか?を詳しく解説したいと思います。

 

ちょっと難しいので興味のある方だけ読んみては?

 

 

下の表はin vitro(試験管)において各種糖類の細菌の利用性を調査したものを一部抜粋(日高ら,1984)

(クリックすると拡大出来ます)

 

はブドウ糖と同等の発育ということ

 

 

試験した多糖類の種類は左から順番に、

 

  • 1-Kestose(1ケストース)分子量504:フラクトオリゴの一種
  • Nystose(ニストース)分子量720:フルクトオリゴ糖の一つ
  • Fructosylnystose(フルクトシルニストース)分子量828:フラクトオリゴの一種
  • Neosugar P(ネオシュガー)分子量540程度:別名 フラクトオリゴ糖
  • Sorbitol(ソルビトール)分子量182:糖アルコール(甘味料)
  • Maltitol(マルチトール)分子量334:別名 還元麦芽糖
  • Lactulose(ラクチュロース)分子量342: 二糖類のオリゴ糖
  • Raffinose(ラフィノース)分子量504:三糖類のオリゴ糖
  • Glucose(グルコース)分子量180:別名 ブドウ糖 単糖類
  • Turanose(ツラノース)分子量342:二糖類の還元糖
  • Melezitose(メレジトース)分子量522:三糖類のオリゴ糖
  • Lactose(ラクトース)分子量342:別名 乳糖  二糖類のオリゴ糖
  • α-Cyclodextrin(アルファ シクロデキストリン)分子量972:環状オリゴ糖
  • β-Cyclodextrin(ベータ シクロデキストリン)分子量1134:環状オリゴ糖
  • Xylitol(キシリトール)分子量152:糖アルコール
  • Mannitole(マンニトール)分子量182:糖アルコール
  • Cellulose(セルロース)分子量100万以上:多糖類(不溶性食物繊維)
  • Alabic gum(アラビアガム)分子量25万以上:多糖類(水溶性食物繊維)
  • Tragacanth gum(トラガカントガム)分子量98000以上:多糖類(水溶性食物繊維)
  • Sodium alginate(アルギン酸ナトリウム)分子量1万〜10万:多糖類(水溶性食物繊維)
  • Carrageenan(カラギーナン)分子量 不明:多糖類(水溶性食物繊維)
  • CMC(カルボキシメチルセルロース)分子量 不明 多糖類(水溶性食物繊維)
  • Inulin(イヌリン)分子量5000〜6500:多糖類(低分子水溶性食物繊維)
  • Guaiac gum(グアヤクゴム)分子量 不明 : 不明
  • Glucomannan(グルコマンナン)分子量10万〜200万:多糖類(水溶性食物繊維)
  • Xanthan gum(キサンタンガム)分子量200万〜1100万:多糖類(水溶性食物繊維)
  • Xylan(キシラン)分子量100万:多糖類(水溶性食物繊維)
  • Greenpeas fiber(グリンピースファイバー)分子量100万以上:多糖類(不溶性食物繊維)

 

Glucose グルコース(ブドウ糖)が最も低分子の単糖類でほとんどの腸内細菌が利用できるので、
ブドウ糖を判定基準とし、多糖類それぞれの発育、利用性を調査したものが上の表です。

 

これらの内、いわゆる食物繊維に該当するのは次の12項目です。

  • Cellulose(セルロース)分子量100万以上:多糖類(不溶性食物繊維)
  • Alabic gum(アラビアガム)分子量25万以上:多糖類(水溶性食物繊維)
  • Tragacanth gum(トラガカントガム)分子量98000以上:多糖類(水溶性食物繊維)
  • Sodium alginate(アルギン酸ナトリウム)分子量1万〜10万:多糖類(水溶性食物繊維)
  • Carrageenan(カラギーナン)分子量 不明:多糖類(水溶性食物繊維)
  • CMC(カルボキシメチルセルロース)分子量 不明 多糖類(水溶性食物繊維)
  • Inulin(イヌリン)分子量5000〜6500:多糖類(低分子水溶性食物繊維)
  • Guaiac gum(グアヤクゴム)分子量 不明 : 不明
  • Glucomannan(グルコマンナン)分子量10万〜200万:多糖類(水溶性食物繊維)
  • Xanthan gum(キサンタンガム)分子量200万〜1100万:多糖類(水溶性食物繊維)
  • Xylan(キシラン)分子量100万:多糖類(水溶性食物繊維)
  • Greenpeas fiber(グリンピースファイバー)分子量100万以上:多糖類(不溶性食物繊維)

この表を見てみると先ほど説明したように巨大な分子量のCellulose(セルロース)ではほとんどの菌種は利用できませんが、分子量の小さい多糖類になるほど腸内菌の利用率が大幅に増えているのが分かります。

 

また、食物繊維を摂取しても、加水分解されていないのでどうしても分子量が大きいまま大腸に到達してしまい、なかなかビフィズス菌のエサになっていかないのです。

 

実際には、分子量の大きいセルロースを分解できる菌はRuminococcus(ルミノコッカス)やClostridium(クロストリジウム)、Bacteroides(バクテロイデス)属の一部の細菌が分解できることが報告されています(Vahouny, 1987)

 

また、腸内菌の多くはフスマ(オールブラン)や生成されたセルロースは分解できないのに対し、果物に含まれたセルロース、熱を加えたセルロースは分解利用されることが知られています。
とくに果物に含まれたセルロースは果物自身が持つ分解酵素によって低分子化されるため腸内菌に利用されやすいのです。

 

このように同じセルロースであっても果物由来のセルロースは利用出来る菌種もいるのに、
オールブラン由来のセルロースは全く利用できる菌種がいないことなどを考えると
腸内細菌の生態は非常に複雑です・・・。

 

また、この表では細菌の利用が認められていなくても、
実際には様々な菌種が助け合い、多糖類を分解し合いながら増えていくこともあります。